ももたね漫画研究「ZOMBIE-LOAN」(前編)

 

こんにちは。

 

PEACH-PIT先生から名前を拝借している

桃亀です。

 

1年ほど前にPEACH-PIT先生の漫画作品

しゅごキャラ!」について

ざっくりとしたストーリーを

振り返りながら

個人的な感想を含めたものを書きましたが、

 

→(前編)https://peachdraw18.hatenablog.com/entry/2019/05/05/093004

(後編)https://peachdraw18.hatenablog.com/entry/2019/05/05/110006

 

これが意外と反響があり、

いつかは他の作品でもやりたいな~と

ずっと思ってましたが。

 

最近、新型コロナウイルス

世の中大変な事になり、

首都圏などでは緊急事態宣言なんかも

出されて

なかなか外出が出来なくなってしまった今、

長編の漫画を読むのには

ピッタリなのではないか、

また、改めて命の大切さを感じる時期

だからこそいいのではないか

という事で、

今回はPEACH-PIT先生の漫画作品

ZOMBIE-LOAN

読んでいきたいと思います。

 

全13巻という大ボリューム!

という事で今回も長くなりそうなので

前編と後編、分けていきます。

 

その前に、

私とこの作品の出会いを振り返ってみます。

 

しゅごキャラ!」で

すっかりPEACH-PIT先生の漫画にハマった、

当時小5~6の私は、

すぐさま他の作品はないのかと調べ、

まず代表作「ローゼンメイデン」を読み、

ますますハマっていきました。

 

そして中学1年で、

あと残っているのは(当時)

オリジナル作品初連載の「DearS」と、

この「ZOMBIE-LOAN」でした。

 

手を付け出したのは

ZOMBIE-LOAN」が先でしたが、

何だかんだ「DearS」と

同時進行で読み進めてた気がします。

 

前回、

入院についてのブログを書きましたが、

最初の入院時(中1夏休み)に

この2作を持ち込んで読んでました。

 

病院に「DearS」と「ZOMBIE-LOAN」を

持ち込む私、

今見るとなかなか頭狂ってますね。

内容が内容だけに。。

 

DearS」は、純粋無垢( )な

中1女子には少し刺激が強くて

ちょっとずつしか読み進められなかった

のに対し、

ZOMBIE-LOAN」は読み始めから

どんどんのめり込んでいき、

最初にハマった「しゅごキャラ!」よりも

ハマり具合が凄かった記憶があります。

 

キャラクターの掛け合いが

テンポ良いのに、

テーマがしっかりしている、

軽いノリもあるのに

ズシンとくるメッセージ性もある、

というのが大きかったんだと

今では思っています。

 

…とまぁ、振り返りは

この辺りにしておいて。

 

さっそく読んでいきたいと思います。

 

1巻


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記念すべき第1巻。

 

漫画の本編では、

しゅごキャラ!」や「ローゼンメイデン

のような、

トーンを多用した華やかな画面

というよりは、

モノクロを貴重とした

シンプルな画面が続くというのもあり、

表紙から作品の雰囲気を強調させていると

思わせています。

 

1巻は、

主人公みちるとメインの“ゾンビ”、

チカとシトとの出会い、

「ゾンビローン」の仕組みと

仲間になっていく行程が描かれた、

いわば序章のような感じです。

 

クラスメートからパシリにされても

文句を言えない気弱な高校生の少女、

紀多みちるは、ある日、

半年前の事故で奇跡の生還者と言われる

二人の少年、赤月チカと橘シトの首元に

「奇妙な輪」を発見する。

 

それは、「死を予兆する不吉な輪」だった。

 

その輪を見る事が出来る特殊な目を持つ

みちるは、

二人に死の危険を教えようと

近づこうとすると、

二人は既に死んで「ゾンビ」と化していて、

命と引き換えに

莫大な借金を背負いながら

「ゾンビ」を退治する事で

借金返済をしていた事を知ります。

 

みちるとチカ、シトの3人による、

死と再生、魂の物語。

 

1巻では、みちるとチカ、シトの出会い、

それぞれの正体(能力)を紐解きながら

仲間になっていく様子が描かれています。

 

ゾンビ=腐ってる という発想からか、

仲間であるチカとシトが

「手首を交換する」事で

能力を発揮できる、という設定は

斬新だと感じました。

 

ゾンビである彼らは人一倍

「生きている事」「命」の重さを

知っていて、軽々しく生きている人を

軽蔑している、というのもあり、

命や生に対する軽い意見には容赦なく

「そんな気持ちなら生きるな」と吐きます。

 

それがみちると同様に、

私たち読者にもグサグサと

刺さっていくのです。

 

学校の保健室にも滞在するシスターが

実は女子生徒を誘拐して補食する

「ゾンビ」だと知った時には、

みちるにも「死を予兆する黒い輪」が

現れている状態で、

両親を亡くして居候している親戚の家から

飛び出すためにチカシトに付いてきた

夜の学校探索で、

それまでは自分から行動できずに

悶々とするだけだったみちるが

仲間を助けようと身を乗り出すシーンは、

まさにこの作品のテーマである

「死を思う事で生を考える」

突き動かされた行動だったと思います。

 

結果的にみちるは致命傷を負いますが、

その姿に感化されたチカとシトが

借金を肩代わりした事で

みちるも「ゾンビローン」の返済者となり、

生還します。

 

これをきっかけにいろいろ吹っ切れて、

居候先を自ら出ていき

長かった髪もバッサリ切り、

前を向いて「生きていく」決意を

していきます。

 

全巻通しても、ですが、

1巻だけでも

すぐ「死にたい」と嘆く人に

突きつけたい漫画となっています。

 

そんな私はすぐ「死にてぇ~~~!!!」と

叫ぶので本当にまたちゃんと

読んでいきます。。

 

 

2巻


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1巻ラストで生還し、

居候先を出ていった事で

ホームレスとなったみちる。

 

そこで、

とある共通点を持つ者が集まる学生寮

「黒羽寮」に招待される。

 

理事長の久世霜月さんや

先輩の宵町コヨミと出会うが、

歓迎会でファンタン(炭酸飲料)に酔った

コヨミにいきなりキスされて…

 

天然可愛い感じのコヨミと

エロ怪しいヨミのギャップや、

どう見てもロリなのに理事長な霜月さん。

キャラクターの良さが

存分に発揮されてます。

個人的には由詩くんも好きです。

 

コヨミから突如現れた

もうひとつの人格、ヨミは、

みちるの特殊能力「死神の目」に対して、

死者の記憶を音源化する「死者の舌」を

持っていたため、

みちるとのキスで再び呼び寄せ、

チカシトはじめ「ゾンビローン」が追う

ある「事件」の手掛りとして協力を仰ぐ。

 

その最中に再会した

チカの中学時代の友人、芝怜一朗の

秀才ぶりも加わり、

謎の「ゾンビがらみの事件」に迫っていく。

 

一気に登場人物や設定の説明などが

加わりましたが、

ところどころに挟まれる日常のシーンで

重くなりすぎず、

情報量も小出しにしていく事で

すっと頭に入りやすくなっていると

思います。

 

個人的には、みちるとコヨミのロリータ回は

とても良き。。

可愛い子にはロリータ着せよ…

 

 

3巻


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前巻からZローン一味が追っている

「ゾンビ」関連の事件。

その犯人が主催するオフ会

に強制的に参加させられてしまう

みちるとコヨミ。

殺人サークルだと気づき、

つい本音を漏らしてしまったみちるが

襲われかけると、ヨミが覚醒。

そこにチカシトも加わり、

何とかその場を凌ぎ、犯人の元へと急ぐ。

 

犯人の、ゾンビ=不気味で無敵、

けれど致命傷で

あっさりと消えてしまう存在という、

狂気さや気持ち悪さが

容赦なく表現されていて、

飾りのゾンビ設定でなく

追求しているところは

本当に凄いと思います。

 

犯人を倒し、人質となった女性も助け出した

ところで一件落着…かと思いきや。

 

報酬額が足りない事で浮上した「真犯人」。

その正体は…

 

数ページ前まで味方のフリしてたのがまた、

より衝撃を与える展開でした。

 

親友が敵となっても、

やっぱり裏切れないチカの

熱い男気というか、

友人想いなところも垣間見る事が出来ます。

 

が、そこを「弱み」と知っていて、

襲ってくる敵となった親友。

いい具合に軽くていい人ぶってた人が

狂気を纏う以上に気味の悪い事ないです。

 

最終的には、

「自由」を履き違えた親友に、

もう一度、自分と同じように、

「生きる」事で得るよう説得するも、

それを拒み、「死神」によって狩られ、

消えてしまいます。

 

親友を失った喪失感の中、

悪口言い合うけれど確実な「仲間」である

シトの肩を借りるチカの姿もまた、

男同士の友情を静かに語っていて

いいシーンです。

 

けれど、そうとうなショックを受けて

甘えん坊になっちゃうチカもまた可愛い。

文句言いつつ見守ってくれたり、

慰めの慰安旅行まで計画してくれる

黒羽寮の仲間たちも、

皆仲間想いでいい人たち…。

 

ところどころで浮き彫りになる、

「生への執着」、「死への恐怖」も、

日常と、そこから反れた心理の中で

確実に描いていく。

それがこの作品のテーマであると

改めて感じさせていきます。

 

3巻はオマケ漫画がたくさん収録されてて

可愛いです。

 

 

4巻


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1巻が序章、2~3巻が第1章とすると

4巻からは第2章。

 

主にシトの過去を追っていきます。

 

チカの家族(父、妹)も登場し、

早くに両親を亡くしたみちる、

諸事情で寮に暮らすコヨミは

「家族」に想いを馳せる。

 

徐々にゾンビローンのメンバーに

「仲間」の意識が湧いていく、

ほんわかした日常が続きます。

 

一方で、何者かに操られているような

描写をされるシト。

みちるがふいに部屋で拾った

シトの「櫛」に触れると、

シトの逆鱗に触れ、

3人は仲間割れしてしまう。

別れた道中、シトは何者かに襲われ、

監禁されてしまう。

 

シトについて情報を知る人間、

董奉(トウホウ)によると、

シトはマフィアの御曹司として、

不慮の事故によるゾンビ化ではなく

「元々ゾンビとして作られた存在」である

と知らされます。

 

チカとみちるは、

誘拐されたシトを探しに出ますが、

董奉によって阻害され、

シトと手首を共有しているチカは、

距離によって使用できなくなってしまい

危機的状況に陥ってしまう。

 

そこに、

助っ人としてソテツが加わり、

さらに情報屋兼死神通訳の少女、小梅などの

情報により、

シトに迫っていきます。

 

「仲間」の意識は生まれつつあるものの、

お互いにまだ完全な信頼を寄せてはいない、

あくまで仮の仲間である事を

董奉に指摘され、

改めて「仲間」とは何なのか、

自分が存在している意味や、

相手にどう思われているのかという事を

考えるようなストーリーになっています。

 

一方で。

監禁されたシトの元には、

監禁を計画した研究者によって作られた、

シトの記憶にいる人とよく似たゴーレム

(作られたバケモノ)の少女がやってきて、

妙になつかれてしまう。

 

研究者、吉住は

個人的に顔が好み。

敵キャラで終わってしまうのが

もったいないくらい。

 

あとシトの監禁されている姿がエロいと

ヲタクの中では評判です。

…確かに。

 

シト奪還に際して、

自分は自分が思うほど

相手に信頼されていないのではないか、と

考え、なかなか行動に移せないチカに対し、

ソテツからは

 

「どこから来たかに拘らず、

どこに行くかを大事にしろ」

 

と諭され、

みちるにも後押しされ、

さらに鼈甲さんからは

奪還に際したボーナスを提示された事で

チカの心に一気に火がつき、

シト奪還へ向かいます。

 

悶々とした気持ちで動けなかったのに

金をチラつかせるとあっさり動くチカ、

ある意味簡単(笑)。

 

協力を仰ぐために尋ねた死神が、

イメージしていたものとは違い、

かなりミニサイズに。

 

普通は小梅を通さないと

会話が出来ないはずなのに、

なぜかみちるとは会話が普通に

出来てしまう事から

みちるを通訳とし、

シト奪還へ連れていきます。

 

ミニサイズの死神さんかわええ。

可愛いって言ったら

死神さんに怒られてしまう。。

 

この巻では

「仲間意識」や「お互いの信頼関係」などを

考えさせられる物語が

続いていきます。

 

 

5巻


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誘拐されたシトを救出すべく

チカたちは捕らわれて監禁されているという

研究者、吉住の研究所へ向かう。

 

研究者、吉住は、

死体からバケモノを作るため、

シトの家系に伝わる「尸解の法」を

入手するため、シトを誘拐していた。

さらに吉住は、

完璧なバケモノを作るため、

運命の輪廻を管理する組織、ARRCと

ゾンビ契約をしていたのだ。

 

一方で、

捕らわれたシトを発見したチカ。

すぐにほどく事はせず、

煽りながら自分の考えを一方的に話した後、

武器を出せる手首を勝手に交換し、

さっさと退散してしまう。

 

いたずらっ子みたいなチカが

チカらしくて良いですね。

芝を失ってから前巻までは

あまりチカらしくなかったので、

吹っ切れた姿をまた見れたのは

なんだか嬉しいです。

 

助けに来たみちるに

初めて「みちる」と名前で呼んだシト。

そして、

敵に阻まれ苦戦するチカに

助太刀しようとすると…

 

これまで壁を作って

仲間に対しても苗字呼びで、

どこかよそよそしかったシトが、

下の名前で呼ぶ事で

共通の「仲間意識」を強めていく

という描写も、

男子同士の友情や青春さなんかも

感じられます。

相変わらず仲良くはないですが。

 

それすらも

トムとジェリー的な関係で

微笑ましく感じてしまいます。

 

そして吉住自身がバケモノと化し、

全員を襲いかけた時、

妙にシトになついて

シトも愛着の湧いてしまったゴーレムの少女

も巻き添えに遭い、

どちらかというと少女を救うため、

目的をひとつに定めて皆で吉住を倒します。

 

そして、

無事救い出した少女を、

今度は人間としてちゃんと生かしてあげたい

と願う最中、

吉住の仲間によって射殺されてしまう。

 

少女は元々バケモノとして作られた、

「存在してはいけない者」。

それは、全く同じ状況のシトにも

響いてしまう。

 

元々ない命とはいえ、

確実に「生きていた」と感じるのは、

少女とシトの間に共通の記憶があるから。

これまで死に残酷で、

特に何の感情も浮かばなかったシトの中で、

「死による喪失」を経験する事に

なったのです。

 

「仲間の一員」としても、

「生と死の意識」をするようになり、

成長したシト。

 

無事帰還し、

寮ではお祝いのパーティーが開かれます。

 

この日常パートで、

キャラクターの感情的な部分が

垣間見えるのが、

シリアスな戦闘の後とのギャップもあり、

よりキャラへの愛着も沸きます。

 

ゲームをして勝利した

コヨミのリクエストで、

コヨミリサイタル付きカラオケ大会が

開催され、

カラオケボックスの隣室と

ちょっとした揉め事を起こしている間に。

 

ゾンビローンの「渡守」こと鼈甲さんは

普段の冴えない格好から

何やら近未来な格好に変わり、

本業である

「WFO

(三途の川的なところを管理する組織)」

の定例会議に参加していた。

 

新議長は、

やたらテンションの高いオネェキャラ、

「薄荷」。

 

薄荷によると、

吉住とゾンビ契約をしていた

運命の輪廻を管理する組織「ARRC」に

よって

その輪廻、

アカシックレコード」の一部が

盗まれてしまったため、

運命が少しずつ狂い始めてしまい、

町に放たれた有害なゾンビを

ゾンビたちに狩りをさせる事で

(とりあえず)正当化させる仕組み、

つまりゾンビローン的な事を

薄荷自身もパクってやり出した、と

宣言する。

その名も「A-LOAN」

 

その「A-LOAN」のメンバーこそが、

カラオケボックス

チカたちと張り合っていた

高校生たちだった、とは

この時点ではつゆ知らず…。

 

新キャラも続々と登場しつつも、

全体的にはゾンビローンの仲間たちの

絆が強まったと感じられる

巻になっています。

 

 

6巻


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ここからはまた新章が始まります。

 

今度は、主にチカの過去を追っていきます。

 

前巻のラスト、

渡守の仲間である薄荷が、

チカらが所属する「Zローン」を模倣して、

新たな命のローンシステム

「Aローン」を設立。

 

そのメンバーは、

前日にチカらとカラオケボックス

張り合った高校生たちだった。

チカっぽい能力の全、

シトっぽい能力の修司、

そしてみちるっぽい能力を持つ兎子。

 

しかし、

ゾンビによるゾンビローンのシステムは

2つもいらないという事から、

1ヶ月以内に一千万円稼いだ方を

生き残りとする事が決定してしまい、

A対Zの生き残り

ゾンビ駆除対決が始まっていきます。

 

基本的に、

後から登場するキャラを

あんまり好きになれないタイプの私ですが、

Aローンの皆は何か可愛いので好きです。

能力はZローンのメンツと似てはいますが

全体的にスキルが上で、

なおかつAローンのメンバーは

全体的に人間味がまだ残っている、

というのも違いがあって

いいのかもしれません。

 

駆除対決の最中、

怪我を負った全に絆創膏を貸すみちるに

一目惚れした全と、

実は全を秘かに想う兎子、

そしてみちるの、

前日のコヨミの告白から意識し出した

ソテツに対する想い。

そんな話を聞いてしまって

ヤキモチを焼くチカシト、など

それぞれの恋心も動き出します。

 

こういう、

本編とはちょっと外れて

ドキドキバタバタするシーンが

割と好きです。

6巻はまだちょっと平和なシーンが多めで

読みやすいかも。

 

兎子に倣い、

みちるもZローンの一員として

力になりたいと思う気持ちが強くなり、

自分の能力である「死神の目」を鍛える

特訓をしていると、

強く引き付けられる場所を見つける。

そこは、みちるたちが通う学園だった。

 

死んだはずの芝が死神となって

再びシトの前に現れたり、

みちるに頼まれた狼男のライカ

チカたちを呼んだりし、

さらになぜか寮で料理をしていたコヨミを

巻き込んで

Aローン、Zローンのメンバーを乗せて

学校ごと別世界へと消えてしまう。

 

それを企てたのは、

Aローン、Zローン、両方とも消そうとする

ARRCの千才(ちとせ)だった。

 

千才の企てによる、

閉じ込められた空間での

生き残り対決が始まっていきます。

 

千才もまた、

絶妙にいい感じのビジュしてるのがさぁ……

良いよね……

 

個人的に、この巻前後の絵柄が好きです。

 

また、これまでだったら

別に死んだら死んだでそれでいっか、

何の役にも立たないしと

諦めが早かったみちるが、

チカとシトと過ごしていく内に、

自分がここに生きている理由、

どうしたら役に立てるかを

自分でしっかり考えるようになった

みちるの姿が、

初期と比べると

だいぶ強くなっていると

成長を感じられる巻となっています。

 

 

7巻


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千才による学園封鎖内で

生き残り対決をするAローンとZローン。

 

サバイバル状態で

それぞれストレスが溜まっていく中、

心が不安定になり、

チカは自我の鎖が切れた、野生のゾンビと

化してしまいます。

 

チカの自我の鎖を直すため、

チカの心に入り、穴を塞ぐ事になった

みちる。

ヨミの力を借りて、

みちるはチカの過去のトラウマに

迫っていきます。

 

チカのゾンビになった経緯や、

流されてもっと過去の、

幼少期、育児放棄された子供のチカと

直接会話する事に。

ここでの会話が未来のチカに

直結すると知り、

死神となった芝は

さらにトラウマを植え付けるため、

絶望的な現実をチカに突き付ける。

 

世の中の残酷さと、

それでも生きていく事の強さを、

生と死のどちらも経験したみちる

だからこそ、

強く生きてほしいと願う訴えが

響くシーンになっています。

 

一方で、ヨミと繋がれたリボンを、

千才によって操られた全が切ってしまい、

絶体絶命になってしまう

AローンとZローンのメンバー。

 

そこに、

外からの救出として

理事長の霜月が

緊急脱出ゲートの「扉」を作った事で、

全以外のメンバーは一命を取り止める。

 

みちるによって

自我を取り戻したチカが

芝と直接対決する最中、

意識の底に流されて漂うみちるを

救ったのは、

白蛇の姿になったヨミだった。

 

さらに、

「扉」から脱出し、

辿り着いた列車に乗るシトたちは、

別ルートでチカの意識へ向かっていきます。

 

チカの過去を追う事で、

より「生きていく事の意義」を問い、

全員でひとつの目的「生き延びる」事を

目指して協力していく様子が

ジェットコースターのように急展開で

描かれていきます。

 

困難を乗り越えて

強く「生きる」事を意識できる

巻となっています。

 

 

8巻


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絶望というトラウマを与えたくて、

死神になってまで執着する親友の芝と

直接対決をするチカ。

 

自我を取り戻したチカは、

そんなトラウマを乗り越えて、

仲間を想い、

愛する気持ちを持っているために

自分は生きて戦っていると宣言する姿は、

この物語のひとつの答えのようにも

感じられます。

 

そうした意識を取り戻した事で

シトたちとも合流したチカ。

進路を無理矢理変更した事で

列車が脱線し、

霜月が新たな脱出ゲートの「扉」を作り、

みちるが漂う無意識の底、

ARRCの「ポケット」に繋がっていく。

 

千才に迫るシトや、

そこへ向かおうとするチカに襲う

操られた全など、

ARRC対ゾンビの最終対決をする裏側で、

ある話し合いをする渡守の鼈甲と薄荷。

 

ここで鼈甲による

「ローン」に込められた思いを

垣間見る事ができます。

 

世の中金が全てではないとはいえ、

とりあえず金があれば

大抵の事が解決できるのは

実は分かっていて、

そこを突いた鼈甲は

一千万円稼いだ方を生き残りとする

対決の終了間際に、

あっさりと全員分のお金を用意する事で

生き残り対決の決着をつけていました。

 

生き残り対決を

ARRCに操られていたと知ったみちるは

ブチ切れて、本能を発揮。

ARRCのカルメラにしか出来ないと

されていた「時空を捻る」を

意図も簡単にこなし、

空間を壊していきます。

 

さらに、千才による言葉で、

自分達が上の存在に操られていたと知る

チカらを巻き込み、

切り取られた学園の枠を壊す事で

元の世界へと戻っていきます。

 

この描写が後に問題となり、

次の章へ繋がるものともなるので

結構重要なシーンだったりするのですが、

全てを断ち切って

皆で元の世界へ戻っていく、

今の自分として生きていく決意をした事で

戦いは終息へ向かっていくのです。

 

全てが終わり、

また日常へと戻った日々は

やっぱりわちゃわちゃして、

でもちょっとドキドキするような

可愛い描写が多いのも、

これまでの緊迫したシーンとの

対比となっていて良いですね。

 

みちるとチカが

手を握るシーンにはキュンとしました。。

みちるとソテツ(+赤月兄妹)による

デート回も個人的には好きです。

皆がそれぞれのキャラらしいし

あっさり終わる恋も

さっぱりしていて面白い。

 

「今のままの自分で、

ありのままの自分を信じて生きていく」事

を考えられる巻として纏まり、

第3章が終幕していきます。

 

 

【まとめ】

 

前編は以上になります。

第9巻~最後までは後編で。

 

ここまでで感じる事は、

まず作品のテーマでもある

「生と死」について、

正解がない中で

それぞれの過去を追う事で

それぞれの「生きる意味」やその強さを

描いている、という事でした。

 

そして、チームとなって

「生と死」、「死と再生」に

立ち向かっていく事で

仲間意識だったり、

誰かを想って、誰かのために生きていく

という強い気持ちも

垣間見る事ができました。

 

それぞれのキャラクターに

愛らしい部分や

共感するエピソードが盛り込まれつつも、

物語を追う事で

キャラがしっかりと成長していく姿を見て、

読者である私たちもまた、

心のどこかで軽視していた

「命」について考える事が

できるようになっていると思います。

 

そんな、

強い「生」を描いた作品を、

後編でも読んでいきたいと思います。

 

 

以上、桃亀でした。