スピッツアルバム研究4「惑星のかけら」

こんにちは。

桃亀改めandです。

 

スピッツのアルバムを聴いて

あれこれ感想を書くこのシリーズ

(勝手にシリーズ化)も

随分久々な気がします。

 

というのも

熱が冷めてしまった…というのも

若干あるのですが、

いろんな曲をwalkmanに入れていたんですが

そのwalkmanが春先にぶっ壊れてしまい、

なかなかアルバム単体で聴くという

時間が取れなかったんですね。

 

…………

 

えぇ、言い訳です。すみませんでした。

 

忘れかけてるとは思いますが、

前回「オーロラになれなかった人のために」を

聴いて書いたものはこちらから。

https://peachdraw18.hatenablog.com/entry/2019/03/28/113001

 

今回は、

3rdフルアルバム「惑星(ほし)のかけら」

聞いていきたいと思います。

 

この辺までが初期スピッツとして

括られるところですかね。

 

スピッツの持ち味、

生と死だったりエロだったり、

そういったものをロックに乗せて歌う、

というスタイルが

存分に詰め込まれています。

 

ちょうどこの頃、

ボーカルの草野マサムネさんは

相変わらず売れないスピッツに悩み、

 

「売れないのは自分の高音ボイスが

ウケないからではないか」

 

と思ったようで、

このアルバムの収録曲は

スピッツの曲の中では全体的に

低めに設定されているようです。

 

そういった事にも注目しつつ、

さっそく聴いていきましょう。

 

 

惑星のかけら

1992年9月26日release


f:id:peachdraw18:20190805152445j:image

 

収録曲

  1. 惑星のかけら
  2. ハニーハニー
  3. 僕の天使マリ
  4. オーバードライブ
  5. アパート
  6. シュラフ
  7. 白い炎
  8. 波のり
  9. 日なたの窓に憧れて
  10. ローランダー、空へ
  11. リコシェ

 

 

1.惑星のかけら

 

アルバムタイトル曲にして、

4thシングルとしてもリリースされます。

 

イントロから重めなロックというテイストで

ギターが歪みながらも響きます。

 

多く出てくるワード、

「骨の髄まで愛してよ」 

から察するに、

まぁまぁ重い恋心という

解釈でいいと思いますが、

イントロの感じからとは裏腹に

歌が始まると割とゆったりしています。

 

より猟奇的な重さのある愛

という感じはしますね。

 

君の夢を覗いた結果、

「二つ目の枕で クジラの背中にワープだ!」

とやけにファンタジーな感じ

だった訳ですが、

単純にという単語から

寝る というイメージがあります。

 

「ベチャベチャのケーキの海で

平和な午後の悪ふざけ」

あえて少し汚い表現をしつつ、

ケーキという甘いものに溺れている様子。

 

先程の寝るイメージと合わせると

これはもうあれですね。

セックス的なあれですね(語彙力)。

 

〈君〉の

「はかなげな笑顔で つま先から溶けそう」になるほど、

〈僕〉が〈君〉にベタ惚れしてる様子が

伺えます。

 

そこからの

「骨の髄まで愛してよ 僕に傷ついてよ」。

 

僕「で」傷つくのではなく、

僕「に」傷ついてほしいのが

ポイントな気がします。

 

続く歌詞が、

君から盗んだスカート 鏡の前で苦笑い」。

 

君の事がとにかく好きすぎて、

君の穿いていたスカートを

盗んでしまいます。

恋人に愛され過ぎていて

自分の着用物盗まれていたら、

信用的な意味で

さすがに傷つきますね

傷つくというより引きますね。

 

だけど〈僕〉は

それを望んでいるようです。

 

引かれるほど重い愛を

受け止めてくれ、というよりも、

受け止めなくてもいいから

自分は勝手に君をこんなに愛してる、

みたいな

若干の自己中心的な恋心を募らせている

という解釈です。

 

「いつでも心は卵だ 割れないように気をつけて」

とあるように、繊細な心は壊れて割れやすい

=心変わりしやすいから、

僕の恋心がなくならないように

君も気をつけてね

みたいな感じでしょうか。

自己中ですね。

 

でも今のところは

「綿毛に守られて 二人は変わらず元気」

そうです。

 

自己中心的な僕の重い恋心、

そして仲の良い恋人

という流れから解釈するに、

「惑星のかけら」=性交から生まれるもの

の喩えなのだと感じました。

 

生命の誕生は宇宙の神秘、だとか

よく聞く気がしますが、

生まれてくるものが惑星だとしたら、

まだそこまでには至っていないものの、

気持ちだけはある

=生まれてくる惑星の「かけら」が

まさにこの曲に込められているように

感じられました。

 

中盤に挟まれたツインギターにシビレます。

 

 

2.ハニーハニー

 

スピッツの曲では

自分が片想いしている相手、

もしくは恋人を

よくハニーと表現しています。

 

という事を考慮すると、

これもまた

好きな女の子か恋人の事を歌っている

という解釈でいいと思います。

 

随所に散りばめられている

「ハニーハニー」 を飛ばして

歌詞を読んでいきます。

 

 

「抜けがらの街で会おうよ」

「もうこれで無敵だ 最後の恋」

 

いろいろあって抜け殻になるほど

疲れているのか何なのか。

 

とにかく抜け殻状態になっても

ハニー=彼女に会えたら無敵になれる、

そんな恋をしている自分。

「最後の恋」というからには、

結婚とかも意識してたりするのでしょうか。

 

「月明かり浴びて踊ろうよ

罪の花をばらまきながら」

 

だけどこの恋は

どこか罪悪感を抱く恋なのかもしれない。

それでもハニーに会えた夜は

罪悪感と一緒に楽しもうよ、という

幸せだけどどこか切ない様子が描かれます。

 

そしてサビです。

ハニーに対して

「It's so brilliant!!」

 

翻訳すると

素晴らしい!!

という意味になります。

 

その部分以外を繋げると、

「僕らに 天国が 落ちてくる日まで」。

 

やはり、ハニー=彼女との恋は

自分にとっては本気だけど、

世間的になのか何かは分かりませんが

罪悪感を抱くような禁断の恋

的なものだったのでしょうか。

 

だけれど僕らは

天国が落ちてくる日

=結ばれて幸せになれる日を願って

今日も素晴らしいハニーとの恋を楽しむ、

そんな様子のようです。

 

僕らの恋はもしかしたら、

「神のきまぐれ」で「箱庭の中」の僕らを

操られているだけなのであって、

結末、運命は決まっているのかもしれない。

「本当のことを教えてよ」と願う僕。

 

それでも「定めの星よりも高く」、

「隠れた力で飛ぼうよ」。

たとえ定められた運命でも、

それを二人の力で飛び越えようと誓います。

 

「二人の旅」は「手探り」で

「闇をかきわけて」いきます。

より二人でこの恋を乗り越えて

幸せになろうね、と

決意を持っているように感じられます。

 

「離れた心のジェルが

流れて 混じり合って はじける夜に」

ここは少し性的な表現だと

感じられたんですが、

それはもうスピッツの深読みの

しすぎでしょうか。

 

禁断だけど二人は幸せ、

そんな恋心をリズムの良いテンポと音で

表現している曲です。

 

 

3.僕の天使マリ

 

ついにダイレクトに人名出してきました。

 

マリ連呼されるので

スピッツファンのマリさんは

歓喜ですね(笑)

 

ちなみに私は歌詞とかに

自分の名前が出てくると、

いくら好きそうな曲でも

こっ恥ずかしくなって

聞けなくなってしまうので

やめてほしいですね。

本名はありきたりな名前なんで、

探せばありそうですが…

とりあえずその話は置いといて。

 

スピッツの歌詞は

自分の好きな女の子、または恋人を

やたら持ち上げるような傾向にあり、

天使だとか女神だとかに

表現しがちです。

 

そこから解釈しなくても、

割とダイレクトに、そのままの意味での

解釈でいいと思います。

 

「僕の天使マリ」。

〈僕〉が天使とまで感じられる〈マリ〉の

様子を〈僕〉目線で歌っています。

 

「今だって君のことだけしか

映らないんだマリ」

 

「まだまだ知りたいことが

たくさんあるんだよマリ」

 

デレデレやん。

四六時中〈マリ〉の事を考えて、

まだまだ〈マリ〉について

知りたいと願います。

 

なんだか初恋をした小~中学生男子

みたいじゃないですか??

初々しさすら感じるほど、マリに恋する僕。

 

純粋なままの「僕の心のブドウ酒を」、

毒になる前に吸い出しておくれよ」。

 

純粋な状態から毒になる 

=下心とか、邪心が生まれてしまう

みたいな事でしょうか。

いやらしい気持ちになる前に、

純粋な気持ちのままマリと結ばれたい。

 

もうどこへも行かないで」と願うほど、

僕にとってマリは

大切な存在なのです。

 

ではマリはどんな女性なのでしょうか。

 

「朝の人混みの中で泣きながらキス」したり、

「夜には背中に生えた羽を見せてくれた」り

する〈マリ〉。

 

どこか秘め事も持っているような、

守りたくなるような

儚い女性をイメージしました。

 

マリ自身が持つ不安を、

〈僕〉にだけは表現して

くれているようです。

 

「きっとこんな世界じゃ

探し物なんて見つからない」。

 

マリにとっては、

この現実世界は息苦しいだろうから、

いつかどこかへ

ふと消えてしまうかもしれない。

そんな不安を〈僕〉自身も感じてしまう、

そんな女性なんだと読み取れます。

 

「だけどマリ、僕のマリ、

もうどこへも行かないで」。

 

マリの人物像を追った後に

この歌詞を出すと、

より寂しげに感じられます。

 

「もうどこへも行かないと約束して」

「僕を見つめていて」

最後はこんなメッセージで締められます。

 

マリにとってはこの世界は

合わないかもしれないけれど、

僕だけはマリの味方だから。

僕だけを信じて

ずっと僕のそばにいてほしい。

 

切実な〈僕〉の想いは

マリに届いたのでしょうか。

 

マリにとって

〈僕〉が居場所になっていたらいいなと

こちらも願ってしまうほど、

儚くて切ないような歌詞に感じられました。

 

カントリー風のノリの良いテンポに

コーラスでまで〈マリ〉コールなので、

曲を聞くだけだとそんな風には

感じられませんでしたが、

歌詞をじっくり読み解いてみると、

案外切ないものだった(個人的解釈)ので

今更ちょっと驚いてます。

 

 

4.オーバードライブ

 

ギターが軽快に、その上にベースも響く

ハードなイントロが印象的な曲です。

 

ギターの演奏(語彙力皆無)に

挟まれるベースソロが絶妙に渋くて

いい響きしてるなと感じます。

最後のドラムも

盛り上がり盛り上がり…な感じを

演出し、ギターで締めるという

とにかく音がカッコいい曲になります。

 

中盤に挟まれる

サンバっぽいリズムの

ポコポコとした太鼓っぽい音と

愉快なコーラスも、

全体的なロックの音とは正反対なようで

妙にマッチしている気がします。

 

そんな音にも注目して聞いてみましょう。

 

 

そもそも「オーバードライブ」とは、

原義としては

家畜、機械、人などを酷使する事。

 

音響器機での意味としては、

電子楽器やそれに用いるエフェクター

の一種でもあるそうです。

 

Wikipedia参照。)

 

どっちの意味か、

はたまたどっちの意味でもないのか。

詳細は不明ですが、

歌詞内にオーバードライブという言葉や、

それに関連した言葉は出てきません。

 

全体的に見た時に、この曲もまた

恋愛を歌った曲だと感じられます。

 

「こっちへおいでよ、かかっておいでよ」

「美人じゃないけど 君に決めたのさ」

 

やけに挑戦的な告白の

ように感じられました。

元々友達として仲がよかったけど

自然な流れで恋人になったような、

これまでのスピッツの恋愛とは違い、

なんかフラットな感じの

恋人関係のようです。

 

そんな関係も「ちゃっかり楽しもうよ

闇のルールで消される前に」。

 

恋愛の形として正統派ではない

というか、

しっかり「お付き合いしましょう」

みたいな告白ではなく、

「ずっと一緒にいるし付き合ってみる?」

みたいな軽い流れで

恋人になってしまったけど、

恋愛の形はちゃっかり楽しんでみようよ

みたいな感じでしょうか。

 

「闇のルール」は、

恋人ならこういう事をしなきゃいけない

みたいな、世間的にある

謎のルールに縛られずに、

自分達が楽しいと思う事を

二人でやってこう、みたいな

とにかく仲が良くて友達の延長みたいな

軽い恋人関係を描いていきます。

 

「歌おう、

この世界じゅうに響くような獣の声で」。

 

獣という言葉には、

ありのまま、素っ裸みたいな

イメージがあります。

 

まさにありのままを隠さずに、

でも恋人としてお互い楽しもうという、

それはそれで憧れるような

恋人関係ですね。

 

ところが、

2番に入ると〈僕〉目線になります。

 

「いつまでたっても 終わりはしないのか?」

 

どうやら〈僕〉は、

友達の延長みたいな関係ではなく

しっかりと恋愛感情の持った関係に

なりたいと思っていたのでしょうか。

 

だけど彼女の方は、

きっと友達の頃と

特に変わらないのでしょう。

そんな関係は終わりはしないのか?と

疑問を抱きます。

 

だいだい色の太陽 答は全部その中に」、

「今ゆっくりとろけそうな熱でもって

僕に微笑んで」。

 

暑い太陽の力を借りて火照った彼女が、

僕を見て微笑んでくれたら。

きっとお互い惚れ合ってる

みたいな形になりますね。

 

だけど「とろけそうな熱をもつ」にも、

太陽の力でもないと

難しいと思ったのでしょうか。

彼女が惚れてるような表情を

僕に見せてくれるかは、

太陽にかかってるぞ、みたいな。

 

この曲はなんとなく

真夏なイメージがあります。

音にも勢いがあるので、

ドライブ中にも合いそうですね。

 

そういう意味でのオーバードライブ?

(違う)

 

 

5.アパート

 

美しくメロディアスなイントロが印象的。

 

この曲は失恋を歌っています。

歌詞もまぁぱっと見で

失恋の様子が伺えますが、

その言葉選びがうまく、綺麗だなという

印象です。

 

さっそく見ていきましょう。

 

「君のアパートは今はもうない」

「だけど僕は夢から覚めちゃいない」

「一人きりさ 窓の外は朝だよ

壊れた季節の中で」

 

恋人と二人で一緒に暮らしていたのか、

ここで会っていたのか、

中心となっていた「アパート」には

別れてしまった彼女は出ていってしまい、

〈僕〉一人が取り残されている状態です。

 

そんな「壊れた季節」と絶望する状態でも、

窓の外では変わらず朝がやって来ます。

この描写がなんとも切ない。

 

「誰の目にも似合いの二人」

だったカップル。

周りも認めるほど

お似合いの二人だったようですが、

実際は

「違う未来を見てた二人」

だったようです。

 

うまくいってると自分達も思っていたんだ

と思います。

しかし、

次第に歯車が合わなくなっていき、

お別れしましょうとなったと予想します。

 

「小さな箱に君を閉じ込めていた」

 

〈僕〉にとってよかれと思っていた事も、

彼女にとっては束縛されていると

感じてしまったのでしょうか。

〈僕〉の考え=「小さな箱」だとすると、

お互いが望んでいた恋人関係が

ズレてしまっていたように感じられます。

 

「そう 恋をしてたのは僕のほうだよ」

 

付き合っていた頃は

お互いに好きあってると思っていた〈僕〉。

だけど違った。

離れていく彼女に、

僕はずっと恋をしていた

そのすれ違いもなんだか切ないですね。

 

「枯れていく花は置き去りにして」

「いつもわがまま 無い物ねだり」

していたと気づきます。

 

わけも解らず 青の時は流れて」

 

青の時

=僕と彼女が付き合ってた日々の事でしょう。

青春、みたいなイメージです。

ここの言葉が凄く美しくて好きです。

 

付き合っていた日々も、

気がついたらどんどん流れていき

消えていってしまっていた。

青春はあっという間に過ぎていくものです。

 

そうした日々を引きずりながら

今日も一人きりのアパートで

朝を迎え、

僕一人だけがまだ夢から覚めない日々を

送っていくのです。

 

中盤に挟まれるハーモニカの音が

より哀愁漂い、

切ない音を奏でています。

 

 

6.シュラフ

 

シュラフ」とは、

寝袋の意味があるそうです。

 

という訳で眠るような

深い音とリズムを感じます。

 

「オーロラになれなかった人のために」で

コラボしたアレンジャー、

長谷川智樹さんと

再タッグを組み、

フルートの音が入りました。

 

オーケストラとまではいきませんが、

ロックバンドの音以外が入ることで

これまでの曲とは雰囲気がまた

ガラッと変わるという

面白さも感じながら

聞いていきましょう。

 

ここまで恋愛の曲が続きましたが、

これはどうやら違うようです。

 

「疲れ果てた 何もかも滅びて」

「ダークブルーの世界からこぼれた」

 

今いる世界には、何もなくて

真っ暗な状態。

絶望している様子が伺えます。

 

絶望的な真っ暗闇な世界でも、

真っ暗ではなく「ダークブルーの世界」と

表現しているのが

スピッツらしいというか、

靄がかかったような様子を

感じる事ができます。

 

そんな世界に疲れ果て、

この世界からこぼれていきます。

 

「不思議のシュラフで運ばれて」

 

先述のとおり、

シュラフとは寝袋の意味です。

 

深い眠りに落ちていき、

夢の世界へと連れていかれるという

イメージでした。

現実逃避のような感じでしょうか。

 

「みんな嘘さ 奴らには見えない」

 

ダークブルーの世界…絶望的な世界

を作ったのは、

自分を裏切ってきた「奴ら」。

そいつらから逃げるように

「たったひとつの思い出を抱きしめて」、

今日もシュラフ

夢の世界へと落ちていきます。

 

ただ深く眠っているだけなのか、

はたまたそのまま

死の世界へ行ってしまったのか。

 

どちらとも取れるような

曖昧で不思議な世界観を持つのがスピッツ

 

フルートの音が

なんだか切なく美しく響きます。

 

 

7.白い炎

 

手拍子も入る、ノリの良い曲。

ライブで聞いたら楽しそう。

 

「悲しみあふれても 怒りがはじけても」

「この日を待つことに心傾けていた」

 

いろんな理不尽があっても、

たった一つ、楽しみな事があれば

そこに向けて頑張っていく事ができます。

 

私もライブのチケットとか取れたら

その先どんな事があっても

「あと何日でライブだから…!!」と

乗り越えることができます。

 

イライラしたり鬱々とした時は、

その先に楽しみを見つけて

そこに向かっていく方が

いろいろいいなと感じる事は

多々あります。

 

そして楽しみなイベント当日。

 

「燃えろ!燃えろ!白い炎よ」

「まわせ!まわせ!地軸をもっと」

「言葉をガスにして」

 

歌詞的に見ると

キャンプファイヤーのような

イメージですが、

白い炎はガスなとで

非常に温度の高い状態に発生する

そうなので、

キャンプファイヤーでやってたら

大事故ですが(笑)

 

ここは私は

もうライブのような

盛り上がるイベントをイメージしました。

 

それこそライブで

「燃えろ!燃えろ!」「まわせ!まわせ!」

のところで

タオルぶん回してたら

めっちゃ盛り上がりそうです。やりたい。

 

これまでの理不尽も燃料にして、

燃えて燃えて盛り上がっている

という状態。

乗り越えた先の楽しみは

思いっきり楽しみましょう!

 

宝貝(たからがい)ひとつで

覚醒できるのさ」

 

宝貝=楽しみなイベント をもつ事で

やる気のない日々も

覚醒して頑張れます。

 

そんな「悟りのエリア」から

同じ状態の「君に呼びかけてた」。

君も一緒に目標をもって頑張ろうよ!と

呼び掛けています。

 

これまでの状態は

「ひからびかけたメビウスの惑星」で、

「行き場のないエナジー」をもて余していた。

 

自分に降りかかる「笑いの渦」

(バカにされているみたいなイメージ)は、

世間的に見たら

「正義の歳月」だったのかもしれない。

自分だけが除け者で、

居場所なんかどこにもない。

そんな絶望的な世界でも、

自分だけの楽しみを持てば

焼け落ちていきます。

 

全体的に、

どんな理不尽があって絶望してても、

何かひとつ楽しみをもっていれば

頑張れるよ!

楽しみの中でストレスを発散しよう!

みたいな曲に感じられました。

 

歌詞カードを見ると、

「言葉をガスにして」の部分の

「ガス」が「GAS」表記になり

タンクローリーのような絵が

付いているあたり、

遊び心もありつつ

相当強い燃料にできそうな感じもします。

 

 

8.波のり

 

各アルバムに一曲はある迷曲。

 

どこが迷曲かというと、

ギターの音出しみたいなところから

ドラムの「1! 2! 3! 4!」とカウント入りな

始まり方も独特ですが、

そこではないですね。

 

歌い出しですね。

 

「僕のペニスケースは

人のとはちょっと違うけど

そんなことはもういいのさ」

 

ここです。

 

ペニスケースとは、

まぁ…男性器を隠す下着のようなものです。

民族衣装の一種で、装身具でもあります。

 

そんなダイレクトに言いますか…と

こちらも少し恥ずかしくなるような

言い回しですが、

ここはそんなに重要ではないようです。

 

ただ、2017年に行われた

バンド結成30周年のライブで

この曲を披露したのは

さすがに驚きましたね。

 

(ちょうど私が参戦した日が

初披露だったらしく、

私含め皆驚いてました(笑))

 

ここまでは余談ですが、

その先の歌詞を見ていきましょう。

 

「ピンクのサーフボードで

九十九里に沿って飛ぶのさ

君の町まで届くかな」

 

スピッツの歌詞には

よく具体的な地名だったりが

登場します。

九十九里は千葉の方でしたっけ。。

 

君の町はもしかしたら

そこから離れた

遠い町なのかもしれません。

遠距離恋愛のイメージです。

 

「迎えに行くからどうか待ってて」

「僕のこと仔犬みたいに」

 

サーフボードに乗って行くという

なかなか愉快な感じで

迎えに行くと言うくらいなので、

君も仔犬が大好きなご主人を待つみたいに

楽しみに待っていて、という

明るいテンションで呼び掛けます。

遠距離恋愛にして

楽しそうな感じがします。

 

「晴れた日の波のりは愉快だな」

晴れた日=君に会える日

というイメージです。

晴れやかに、明るく、楽しい日。

遠距離恋愛でもお互い楽しんでいて

会える日を楽しみにしている状態が

浮かびました。

 

「枯れ果てたはずの涙も

タンクに溢れてるのさ」

「このままで君はいいのかい?」

 

会えない日々を想って涙する日もある。

泣いてはいけないと我慢して、

もう枯れ果てたから出ないよと強がっても

本当はまだタンクに溢れていて、

このまま我慢し続けていて

本当に君は苦しくないの?と心配します。

 

「くたびれたロバにまたがった

ビキニの少女がその娘さ」

 

初めて相手の人物像が出てきました。

ビキニの少女のその娘は

魅力的だったのでしょうが、

くたびれたロバにまたがっているあたり、

どこか内に秘めた傷や疲労

感じ取れたのかもしれません。

 

この一文は、

〈僕〉がその娘に出会った記憶

なのかもしれませんね。

そんな君を見て一目惚れした、みたいな。

 

久々に会うから、

「僕の顔 覚えてるかな」と

期待と不安も持ちつつ、

 

「ユラユラとカモメ気分さ」

それでも随分浮かれて、

ウキウキな気分で彼女を迎えに行くのです。

 

 

9.日なたの窓に憧れて

 

後に5thシングルとしてリリースされる曲。

 

このアルバム上では最も長く、

6分以上もありますが、

終始鳴り響くシーケンスの音が

特徴的な曲です。

 

「君が世界だと気づいた日から

胸の大地は回り始めた」

 

恋が始まった瞬間ですね。

気が付いたら、君が中心になっていた。

 

まだ片想いなので

「切ない空に」、

「かげろうみたいな二人の姿を」

浮かべます。

 

「すぐに気絶しそうな想いから

解き放たれて」、

「君に触れたい 日なたの窓で」と

願います。

 

日なたの窓=暖かな場所 なので、

君に触れて

暖かく優しい時間を過ごしたいと

願っているようです。

 

それさえできれば、

「それだけでいい 何もいらない」から、

君の「瞳の奥へ 僕を沈めてくれ」と

強く想います。

 

そんな「日なたの窓に憧れて」、

「哀しい恋のうたに揺られて」いる

日々を過ごします。

まだまだ片想いのままのようです。

 

「落書きだらけの夢を見る」ほど、

彼女とのあれこれを想像するも、

「風のノイズで削られていく」のです。

 

風のノイズ=現実 でしょうか。

夢見るけれど現実も突き付けられる、

なかなか叶いそうにない恋が続きます。

 

「いつも僕の欲しいのは

優しい嘘じゃなくて」

 

彼女はきっと〈僕〉に

優しくしてくれるのでしょう。

だけど好意のない優しさは

逆に傷ついてしまうものです。

 

〈僕〉が欲しいのは優しさじゃなくて、

君からの好意なのに、と

切ない想いを募らせます。

 

「メリーゴーランド…

二人のメリーゴーランド…」

「ずっとこのまま ずっとずっと…」

 

と続くところは

まるで夢に漂うようにユラユラとした

歌声と音が響きます。

 

二人でメリーゴーランドに乗って

ユラユラ揺れる様子は、

きっと〈僕〉の妄想というか夢というか。

このまま夢の中でだけでも

二人で一緒にいれたらなぁ…と

耽っているようです。

 

「瞳の奥へ僕を沈めてくれ」

 

君の瞳に僕が映り、

夢中になってほしいと

今日も願う日々を送ります。

 

スピッツの曲の中では

割と分かりやすい歌詞だった

ように感じますね。

 

 

10.ローランダー、空へ

 

「ローランダー」とは、

低地に住む人、という意味だそうです。

 

低地に住む人が、高い高い空を夢見る、

そんなイメージをもつ曲です。

 

イントロや続くメロディも

ゆったりとした大空をイメージするような、

そんな音です。

 

「果てしなく どこまでも続く

くねくねと続く細い道」は

ここまで歩いてきた、

そしてこれからも歩いていく人生を

喩えているように感じられます。

 

決まった道を、

くねくねと曲がりながらも

永遠に続く道を歩いている。

 

だけど本当は、

もっと違う人生も歩みたいと

願っているようで、

「途中で立ち止まり君は

幾度もうなづき空を見た」。

 

低地の細道を歩むだけの人生ではなく、

壮大に広がる大空を

夢見ている様子が描かれています。

 

そんな君へ、

「飛べ ローランダー」、

「棕櫚の惑星(しゅろのほし)へ

たどり着くまで」

と強く送り出します。

 

棕櫚(シュロ)…

バカなんで一発で読めませんでしたが…

どうやらヤシの木の一種のようです。

 

棕櫚の惑星…

ヤシの木は高く高く成長するものなので、

棕櫚の頂点に届くほどの

未知の惑星を目指すくらい、

高く高く飛べ、という意味でしょうか。

 

定められた道を歩む様子は、

「このまま静かに羊の目をして

終わりを待つコメディ」と喩えます。

 

今のこの道を「疑うことなど知らずに」、

でも「何かに追われて時はゆく」、

そんなつまらない人生から脱出するよう

「飛べ ローランダー」と呼び掛けます。

 

「白い翼と 白いパナマ帽、

渚の風を身体にまとう夢を見たのさ」

 

低い低い細道を歩いていた

ローランダーの自分が、

いざ大空を飛んだ夢を

ユラユラと心地の良いメロディに乗せて

見ている様子を語ります。

 

定められた細道を行くだけの

人生から飛び出して、

まだ見ぬ大空を目指そうという

前向きな曲になっています。

 

11.リコシェ

 

ギターの三輪テツヤさん作曲の、

歌詞なしのインスト曲になっています。

 

最後の曲にして、

何かが始まりそうなイントロに

ワクワクします。

 

最後までアルバムテーマである

「惑星」、「宇宙」らしさを感じる

音が続きます。

 

合間に挟まれる

「ゴーゴーゴー リコシェ Oh Year」

という歌にも、

シンプルながら

広大な宇宙を駆けていくロケットのような

勢いを感じます。

 

3分足らずの曲ですが、

それぞれの楽器の技術が光り、

スピッツのバンド力、

スピッツのロック力を堪能できます。

 

 

〈まとめ〉

 

以上で3rdアルバム「惑星のかけら」を

聞き終わりました。

 

スピッツの本来の魅力である

ロックバンドとしての音楽、

そして宇宙を旅するような不思議な魅力、

さらに幸せを願いつつも

結局は一人で悶々としている恋心など、

スピッツのこれまでの魅力が

存分に盛り込まれているアルバムでした。

 

このアルバムを以て

やりたい事は一通りやらせてもらったと

草野さんは語ります。

 

次からは「売れる」ための

作品づくりをしようと試みて

模索しだしますが、

それはこれからのお話。

 

初期の、若さ故の溢れるロック力を

堪能したい方におすすめのアルバムです。

 

現在でも

たびたびライブなどで披露される曲も

多く収録されているので、

ぜひこれから盛り上がるフェス前に聞いて

気分を盛り上げてみてください。

 

以上、桃亀改めandでした。